東のオーストリアと南のオーストラリア

オーストラリアの名称の由来が、ラテン語の"Terra Australis (Incognita)"((未知の)南方大陸)だということはオーストラリア関係者には広く知られているところだろう。未知の南方大陸の存在は古代ギリシアの時代から提唱されていたと言われる。

 

"Australis"は「南の」という意味で、アウストラロピテクス(Australo(南の)pithecus(猿))の語源でもある。

 

ところで、オーストラリア(豪太刺利)とよく間違われるオーストリア墺太利)だが、実は語源からして全く同じなのだ。

 

印欧祖語(Proto-Indo-European)における"h₂ews-"(印欧祖語においてhの喉音は3種類あったとされる)が、両国名の語源だが、その意味は「夜明け」と「東」。

この語のイメージは「輝く」で、輝く太陽が東から上ってくるから「東」という意味を持つ。Aurora、eastなどの語源とされる。

 

印欧祖語から派生したゲルマン系の言語において、東にある地は"Ostarrîchi"(ラテン語で"Austria")と呼ばれたのである。つまり、ドイツから見てオーストリアは「日の出ずる国」なのだ。

 

この「東」の意味を持つ"h₂ews-"がラテン語において「南」の意味も持つようになった理由には諸説あるようだが、一説には、サハラ砂漠からローマに向けて吹く南風(シロッコ)が熱かったため、「輝く=熱い」というイメージから「南」を指すようになったとか。ラテン語で"auster"が「南の風」を指す言葉になっている。

 

オーストラリアとオーストリアは語源から見ても紛らわしい。